「バンドは水物」発売記念スペシャルインタビュー!

   

●前作『酒まみれ』(2021年)は“酒”のテーマがありましたが、今回も何かテーマがあるような。『バンドは水物』というアルバム・タイトルからして、コンセプト・アルバムみたいにも感じましたが。

まり:後付けのテーマだな。そこまでコンセプチュアルじゃなくて、すいません。

●深読みかな。一昨年の配信シングルの2曲「Look Back in Anger」「SHOW YOU MY SOY SAUCE」以外はバンド関係の歌に思えたので。

まり:どんどん深読みしてください(笑)。普段考えていることが、“それ”なのかもしれないですね。

●では一曲ずつ訊いていきましょう。「SHOW YOU MY SOY SAUCE」は、まさに1曲目!って感じで

まり:はい。長い曲が1曲目で。展開も多い(曲だ)し、どうかなーと思ったんですけど、(アルバムの)始まりは派手でいいなーと思って。ちなみに曲順は“やよいプロデュース”で。

●山あり谷ありのアルバムの流れ、いいですね。2曲目のタイトル「24030番地に回覧板を回せ」の数字の意味は?

まり:つ(2[two])、し(4)、ま(0[丸])、み(3)、れ(0[零])……そういうバンドじゃないですか(笑)<注:つしまれは、バンド名からはじまって歌詞の多くが語呂や言葉遊びを得意とするバンド>。
この曲は、出来上がってきた曲を並べて、ノリでスカッ!としてる曲が1曲欲しいなと思って、何も考えてない感じの陽気な曲が欲しいなと思って、作った曲だと思うんです。あんまり考えないで作って、勢いで作ったんですけど、そこに“理由”が欲しくなるじゃないですか。
思いついたのが…ブランキー・ジェット・シティに「3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ」っていう曲があるんですけど、ちょっとインスパイアされて(注:ブランキー・ジェット・シティはつしまみれの原点のバンドの一つ。昨年も何曲かライヴでカヴァーしている)。
で、(24030番地にはつしまみれのメンバー)3人しか住んでなくて、歌詞のままなんですけどまだ誰も気づかない桃源郷があるという(笑)。このバンドが最高だと思ってるんですけど、イマイチ気づかれてないことに関してはすごい不満がある、でもこれだけやってて気づいてくれてないってことは、自分たちに何か欠点があるかなとも思うんですけど(苦笑)。それでもやめられないので。

●ふざけているようで真面目、つしまみれらしい曲です。

まり:できあがったら、やっぱり、歌詞が思いついた瞬間に、テーマソングじゃん!みたいになって。歌ってみたら、やよちゃん(やよい)が適当にコーラス付けるんだけど、“ヤッホー”ってみんなを呼んでるのかなと。

やよい:“ヤッホー”をみんなでハモってるっていう(笑)。

まり:(エンジニアの)中村さんのいいところで、そういうのを面白がってくれる。歌詞で、ダイブしてるのが私で、のけぞっているのがやよいで、暴走してるのがまいこで(笑)。いつかお客さんが大集合したらいいなっていう思いが、こもってます。

●ロックンロールでちょっとサーフな感じの曲ですね。“回覧板”という言葉も面白いです。“戦争”“テロリスト”という言葉が入っているのも新鮮というか。政治的とは言わないですけど。

まり:前の『酒まみれ』のアルバムの中の「SHOT YOU」って曲も、コロナ下で第三次世界大戦が始まって、みたいなことを歌ってるんですけど。今家にテレビがなくてニュースが(テレビから)全然入ってこないんですけど、実家に帰ってニュースばかり観ていると世界の悲惨さがどんどん……。こんなことがなければ世界中のどこ行ってもロックンロールでハッピーなのに、嫌だなと思って。喧嘩上等ではなく“平和上等”って感じ。

●上手い言葉の使い方だと思います。“時代遅れ”とか。

まり:“ださい”よ、っていう。

●次の曲の「低気圧のせい」はツアー中の思いというか。普段のことでもありますかね。

まり:どっちかというと普段ですね(笑)

やよい:体調とか、普段うまくいかない時とか、全部低気圧のせいにしたら、少し楽かなっていう(苦笑)。

●これも面白い曲で。

まり:かっこいいかなと思って。

●ギター・ソロもかっこいいです。

まり:ありがとうございます。

●他のアレンジもそうですけど、ギター・ソロもコーラスも随所で工夫していますね。これは明るいようで暗めの感じもある曲で。

まり:自分もノれるようなつもりにした曲で、サビも“Yeah”だから絶対みんな踊れるじゃんと思ったら、ツアー中あまりお客さんが踊ってくれなかったから、日々研究してます。

●4曲目の「Double Punch Kick」、これはライヴのことかなと。お客さんのノリとか。

まり:はい。お客さんのことを思って作りました。“Double Punch Kick”ってワード自体は…アメリカ人のツアー・マネージャーをやってくれていたジミーって人がいて、その人がお笑い俳優さんみたいな仕事をしていて、ダブル・キック・パンチ・プロダクションっていうのを自分で作っていて。

●ちょっと軽めで。

まり:アイリッシュ・パンクっぽくしたかったんですけど。最後の音は、バグ・パイク風の。
やよい:カシオのキーボードで“バグパイプ”って書いてあるのを使って。

●ポーグスみたいな。

まり:そうです。(昨年他界した元ポーグスのシェイン・マガウアンを)追悼して。

●メロコア(バッド・レリジョンのスタイルのメロディック・パンク)っぽくも聞こえますね。

まり:あぁ、でも良かった。ズッタンズッタン!みたいな曲が、基本、好きではないんですけど。ツー・ビートっていうの。でも、無条件にノれるっていうのは素晴らしいよねっていう。若い頃はそういうのでダイヴしてましたけど、つしまみれだったらどうなるかなと思って。

●(外国の)民謡ってけっこうツー・ビートありますね。(アイルランド民謡だけでなく)ロシア民謡とか。

まり:そうなったらカッコいいですね。

●ツー・ビートで進むも後半でドラマチックな盛り上がりを見せるのも、つしまみれならではかなと。

まり:歌詞自体はツアーの苦楽に関してっていうテーマですね。健康が一番大事だっていうことに気づきますよね、四十代になりますと。体が元気じゃないとツアーも。だから(歌詞になっているように)“ロングジャーニー/欠かせないもの/思いやりと/エクササイズ”っていう。歌詞、めっちゃダサいなって、この曲。でも、それが逆にいいなっていう。ウォーミングアップしないと、ちょっと肩も痛めますし。

↑レコーディング前にウォーミングアップするつしまみれ

●5曲目は昨年末に配信シングルにした「Look Back in Anger」。歌詞に関してはHPにアップされた一昨年秋のインタヴューで言及されていましたが、あらためて聴いて名曲です。

まり:ありがとうございます。

●「ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート」をはじめとする、ジョイ・ディヴィジョンの後期を思わせるメロディのシンセサイザーですし。あとドリーム・ポップな感じも。つしまみれはミクスチャーとドリーム・ポップ、あと歌謡曲かなと。
続いての曲「サイケデリック自問自答」がまた謎で。レゲエで始まるのも異色です。

まり:それも最終案で。録音の1週間前に、急にテンポを落としたと思うんですけど。(最初はずっと)後半のテンポでやってたんですけど、何かつまらないと思って。「低気圧のせい」と同時に(配信シングルとして昨年6月に)リリースしてて。その時に、(自分の)不具合を全部低気圧のせいにしたいし、だけど自問自答し続けてるっていう(2曲にしたくて)。鬱々とした感じなんですけど、でもそれをハッピーにしたくてて。でも、なんで(曲の前半を)レゲエにしたんだっけ?

やよい:もともと私がこういうのをやりたいって時に、すごい遅いのから始まったのかも。

まり:最初(やよいは)フガジを目指していたそうです。

●その痕跡は残ってますよ、レゲエもパンク・ロックもフガジの要素ですし。

やよい:(その)両極端を、この曲にしたっていう(笑)。

●けど、なぜ“サイケデリック”が曲名に?

まり:サイケな“うにゃうにゃうにゃ~”って感じの中で踊っているイメージなので、合うじゃんってことになりました。

●いい曲ですね。どんどんシリアスになっている感じで。狂おしいギター・ソロも。

まいこ:あのギター・ソロ良かったですよね。

まり::家で録ったものをハメてもらいました。

サイケデリック自問自答

●7曲目の「Color」も内省的で。

まり:やよたん(やよい)が最初フレーズ作って、歌詞をどう乗せたらいいのかずっと迷ってて、最終的に(レコーディングの)直前まで決らなかったんだけど。演奏自体はほぼ固まってけど、やってることは難しくて、上手くなりたいなと。

●アルバムの流れの中では嵐の前の静けさの音ですが、ダークな歌詞ですね。

まり:自立した女がテーマっていうのが、やよいの中で、あって。

●なんでまた、自立した女というテーマが?

やよい:自分が女性だし(笑)、バンドとかやってると、強くないと、なかなか、生きづらい。ずっと女性だけでこんなにやってるから。別に、誰かに何かを教えたいとかいうわけじゃないんですけど、この生き方に誇りを持ってるし。全然フェミニストじゃないけど、でも、伝えたいなと思うんですよ。こういう、強い女の生き方もあるぞということを、世の中に提示したいという気持は、やっぱりどこかにあって。それの表れです。たまには、言いたい(笑)。

●バンド内でそういう話はしたんですか?

やよい:してない。

まり:でも、やよたんがいつも誇りを持ってるってことがわかるから、“こういう感じ?”って。私の中では、ジャミロクワイやベックがテーマのかっこいい曲を作りたいと。

●歌詞を書いたのはまりさん?

まり:はい。でも“こういう内容でどうかな?”と二人に話したりして“いいんじゃない?”と。年齢がどうだこうだって言うのも歳だなって思うけど、そういうの関係なくやってこうぜ、堂々とやればいいじゃんって感じ。

やよい:(歌詞の一角を占める言葉の)“圧倒的 私”でしょ?って言える人って、ほとんどいないと思うんですよ。でも、自分だってそんなに言えないけど、バンドだったら言えるみたいな強みがあって。この女の人が3人でやってるバンドで、こういうことを言えるのは、すごくいいなと思って。

●素晴らしいです。つしまみれから、そういう言葉が聞けて。

やよい:欲しがってる人がいるかなと。

まり:そういうのが、こういう(地味めの)曲に乗せられてるのは、いいかなと。だから、上手くいってなくてもいってても、堂々としております(微笑)。気に入ってます。

●続いて「バカ元カレー」。セカンド・アルバム『脳みそショートケーキ』(2007年)の収録曲ですが、今回再録音した経緯は?

まり:関係者の人から“25周年のアルバムだったら、一個ぐらい古い曲を、まいこちゃんヴァージョンで録り直したら?”ってアイデアをもらって。

まいこ:なるほどー!ってなった(笑)

まり:「バカ元カレー」ってライヴで人気だから、やろうって。

やよい:本当にやりたかったアレンジでやりました(笑)。どっちかというと、前に録音したやつが、思ってたアレンジじゃないアレンジになって。その時プロデューサーさんがいたので、2007年のは(自分たちの思っていたヴァージョンから)変えられちゃってるんだよね、色々と。でもライヴは、やりたかったヴァージョンでやってて。で、その本当にやりたいやつを収めたいと(思って)やりました。

まり:コーラス・ワークがすごい特徴的で。

やよい:はい、なぜ(今回のような自分たちのやりたかったアレンジが当時)ボツになったのか、今になってよくわかって。これはないなー、と(笑)。

まり:(キーが)高すぎるっていう。でも今こそ、やよたんが普段(ライヴで)出してるやつで、まいこが最初にタイトル・コールして、それでやろうって。
で、これは、この当時の二十代のワタクシの、バカな元彼に、振り回されることなく、踏み台にしていくぞっていう、前向きな、失恋から立ち上がる歌で。この曲はけっこう、女の子たちから好評で。対バンの子たちが、この曲をすごい好きだったと言ってくれたり。強い女の子たちが(この曲で)奮い立たされていたってことも後に知って。重要な曲なんです。
「Color」につながるんですけど、私たちってもうちょっと、強い女の代表でもいいのかなって。安心して付いてきなさい、みたいな感じの立ち位置になりたいとは思いました、そういえば。強い女の人たちって、すごい大事だなと思って。今、ここから私たちがもうちょっとがんばる理由って、たぶんそこの力なんじゃないかなと思ってるところです。この曲は、若き日の強い私たち、だと思います。

●その当時から、そういう意識だったと。

まり:今も私たちが一番かっこいいと思ってるけど、(当時は)マジで自分たち以外の音楽に全然興味なかったという。世の中にこの音楽を知らしめなければって言いながら。ライヴも私たちが一番かっこいいって、疑わなかったので、すごい自信をもって、やってるんですけど。そのわりに、人気が出ないなとなって(苦笑)。でもとにかく、「バカ元カレー」を作った時に、今に見ていろよ、って感じだったと思うんですよ。男の人を小馬鹿にしていると思います。ひどいですね。

●そう考えると、フェミズム・ソングとは言わないまでも、そういう部分もあるかも。

まり:そうなのかも。でもいざ言われちゃうと、そんなことないって(笑)。

●フェミニズムって言葉は重いですからね。

まり:フェミニズムとなると、ちょっと待って!ってなりますよね、政治的とか言われるとさ(微笑)。

●今まりさんが“「Color」につながる”と言いましたが、「バカ元カレー」の曲順が「Color」に続いているのは意識的?

やよい:(その曲順、歌詞の面では)意識してないです。曲調の問題だけですけど。穏やかな気持ちになった後、バカヤロー!っていう。そういうのを、つしまみれのファンは求めているんじゃないかって思って。

●で、次の曲「ヨリ戻シチュー」に続きますね。

まり:「バカ元カレー」のアンサー・ソングっていうのかな。二十代の私が「バカ元カレー」だったのが、四十代の私で「ヨリ戻シチュー」になるっていう。ワードで「やよたん、いいタイトル思いついた~!ってまずなって。「ヨリ戻シチュー」ってタイトルで作りたい」(と言ったら)「いいよ」と(笑)。タイトルがある日思いついて。
「バカ元カレー」はハウスバーモントカレーが“元(ネタ)”だったんで。“ハウスバーモントカレー~♪”っていうコマーシャルソングが“じゃあねバカ元彼~♪」”になって。で、(同じようにコマーシャルソングの歌メロ等を引用して)“ハウスシチュー~♪”が“愛してるよ~♪”に(微笑)。(「ヨリ戻シチュー」の方の歌詞の内容は)フィクションなんですけど。もともと彼がいました。(その後)色んな“具材”と出会ってきたけど、やっぱりあなた…。色んな“具材”を煮込んで…色々な出会いがあって、色んな体験を経てー…今の私が。壮大な5分超えの曲になりました、長っ!て(苦笑)。

●クライマックスになりそうな感じで。

まり:そうですよね、終わりそうですよねアルバムが。でも、(元彼との“ヨリ”は)戻らないですよねー、なかなか。難しい。

●リアルな自分だからそういう歌詞のテーマが出てきた感じで。

まり:ほんとそうですよねー。人生をさらけ出しながら。だから(過去の数々の自分の遍歴を)シチューの具材とかにするしか、ごまかしようがない(苦笑)。(歌詞は自分でも)けっこう上手い!と思ったんですよ。“見た目だけのブロッコリー”とか。

●他の曲もそうですけど、左側から聞こえてる声は誰が? この曲だと“ヨリ戻シチュー~”っていう恐い声は、やよいさん? ライヴの立ち位置と同じく左の方からの声なので。

まり:今回、エンジニアの中村さんがけっこうコーラス・ワーク気に入ってて。この曲だと私はアイドルみたいに、(松田)聖子ちゃんイメージなんですけど、そこに無機質なやよいの低い声で対比ができました。

●10曲目の「迷曲」、これまたタイトルがシャレですが、まさに名曲です。

まり:ありがとうございます。まじめな曲も一曲入れたいなという。

●“遊び”の要素のない、まっすぐな曲で。曲調も歌詞もストレートですね。これも自分たちのこと?

まり:そうですね。迷える我々の。自分が弾き語りで作って、バンドでやりたいと言って。つしまみれらしさ、みたいのが自分たちの中にあって、3人でセッションして作らないと“つしまみれっぽくない”っていうのがあったんですけれども。1曲ぐらい、こういうのもいいんじゃないかという、一緒にアレンジしておくれよって感じで。やりたいなって言って。アルバムの中に1曲、バラードが欲しいなと言ってて。J-POPと歌謡曲で育ってきたんで、一生懸命そういう感じの歌もので。

●とはいえ、イントロなどのリフはジミ・ヘンドリックスを思い出します。ハード・ロックっぽくもありますから。そしてラスト・ナンバーの「バンドは水物」。これはライヴの終わりみたいな感じで。

まり:録音の時、ドラム・セット、すごいヘンなふうにしてた。

まいこ:スネアドラムのチューニングも、すごいダルダルな感じの、普段使っているのと全然違うスネアをエンジニアの中村さんに貸してもらって、使ったんですけど。

↑レコーディングで使用したドラム

●ソニック・ユース!と思いました。メタル・パーカッションも使っている点で、その初期のドラマーやジョン・スペンサーが在籍したプッシー・ガロアも想起しましたよ。ノイズ・ロックというか。

まいこ:何を叩いたんだっけな……キーボード・スタンドを鉄の棒か何かで(笑)。

やよい:最初はもともと無いぐらいの勢いの曲だったんですけど。“これで全部出来た!”って言ってたら、“何かもう一曲作ろうよ”ってなった時に、25周年だからこその曲を作りたいと、私は思ったんですけど。つしまみれの25周年だからこそってなんだろう~?ってなったけど、何も考えない魂の塊りみたいなものかなって。でもテーマは何も考えないで作ろう、だったんですけど。ただ“バンドは水物”っていうのはテーマとしては、私の中ではあって。それがタイトルになるとは思わなかったけど。メロディアスで攻撃的なベースは、まあ自分の持ち味といえば持ち味と思うんですけど。なんだろうね、勢いで作っちゃったから、もう…(笑)。

●歌詞もタイトルどおりで。

まり:(曲や歌詞を作る時に手書きでメモしている“制作ノート”に)ひどいこと書いてありましたねー。“自分たち以外のバンド、全員消えてほしい”“全員いなくなればいい”って(笑)。そんなこと思っちゃダメだし、今、平和な世の中が求められているし、発言とかも気をつけなきゃいけない。でも、その“暗黒ノート”には、“全員消えろ”って書いてある。

●そういう音になっていますね。

まり:それで成仏しました(笑)。

やよい:25年やってて思うことが、それか!って(笑)。

まり:でも、見返すとね、そうでもないなって思うんですけど。みんなのこと、好きだし。

●でも初期からバンドに関して自信満々、それがずっと続いているからこそのフラストレイション。

まり:フラストレイションですね、まだ売れない、という。

●ちなみに、『バンドは水物』というタイトルはどこから? ホームページのニュース・コーナーには“つしまみれが結成10周年のライブイベントから生み出した、バンドの儚さ、美しさ、奇跡を表す言葉である。”と書かれていますが。

まり:10周年のイベントの時に既に周りの友達たちがどんどんバンドをやめていったりして、水物だなって。

やよい:バンドはギャンブルみたいなことだから、そりゃ、みんなやめるかっていう。それでも続けていく私たち(笑)。

まり:それで“バンドは水物”っていうワードができて。5年ごとにイベントをやってるんですけど。

●25年って途方もなく長い。しかも女性だけのバンドで(制作、ライヴ…特にツアー)をコンスタントに続けているという点では、日本だと少年ナイフ、世界的には最長と思しきイギリスのガールスクールなど、やっぱりとても数少ないです。先ほどからのフェミニズム云々の話じゃないですけど、女性の方が続けていくのが大変のような。家庭を持ったらというのは男性も同じかもしれないですけど、子供ができてどうこうのとか。やよいさんは結婚されていますが。そのへんで思うこと、ありますか?

やよい:(世間などの一般的な生き方等から)“ズレ”てるからこうなって当たり前みたいに、されるなとは思います(苦笑)。他の友達とか話は合わないし。どうなんですかねー。逆に、ここまでくると男性よりもバンドを続けるにあたっては…。男性の方が、日本だったら、(昔からの伝統で根強く)家庭を支えないといけないみたいなのがあるから。それで、売れてる人は残るけど、売れてない人はいなくなる。女性は売れていても売れてなくてもいなくなる人はいなくなるし、残る人は残るってところにいるのかなと。
(各々が置かれている)環境よりも、どれだけやりたいかが結局、続けるか続けないかにつながってくるかなと思って。今ここにきて、環境のせいじゃないなと思ってます。自分がやりたいからやってるだけだと思います(微笑)。

まり:やりたいからやってるだけで。どんな環境でも無理やりやろうとしてるだろうなと思って。なんか……納得してないんだと思います、バンドに(苦笑)。まだ、もっとできるんじゃないかという。

私の中で、やめられない、やめたら自分の人生負けだ、と思ってしまう感じがあります(苦笑)。

●野望とまでは言わないまでも、いい意味で欲があるというか。

まり:達成できてない感じが。今回も“まだこういう曲が作れるんだ!”と思ったし。最後の悲鳴が、めっちゃ上手にできて、“こんな素敵なスクリームができる私、まだまだ!”って。だんだん声も衰えるのかな、っていうのもあるじゃないですか。でも全然。でもこの前のアメリカ・ツアーで膝ヤっちゃったんで、マジで体は気をつけようと思うんですけど(苦笑)。

●まりさんのヴォーカル、ほんと声が以前より出ていますよ。経験から声の出し方がわかってきたような。演奏も、衰えるどころかアガっているし。3人もお演奏で自分の音もできているし、バンドならではのケミストリーもバッチリです。まいこさんは加入7年目ですけど、長くやっているバンドに入って、それ以前からバンドをやっていて、バンドを続けていますね。

まいこ:私はもともと、社会人で働いてた時も、ずっと細々バンド活動してて。残業があっても、仕事で土日しか休みがなくても普通にバンドやってて。週3回練習に入って土日ライヴっていうのをずーとしてて。つしまみれに入って、(生活の中で)バンドがメインになってもずっと続けたいと思ってるから、やりたいからやってるんだなっていう。環境がどうあれ、何やってても音楽やりたいからやっていたという感じがすごいしてて。自分が一番長く続いたバンドが、今のところ、つしまみれだから、ちょっとビックリします。よく続いてるなと(笑)。

●なぜビックリするんです?

まいこ:一番ハードなバンドだから(笑)。おもろいバンドだと思います。

●最後に、今後の予定を教えてください。

まり:やっぱり、25周年の私たちに、何かしてくるんじゃないかと思ってくれてる人が、絶対いると(微笑)。ファンの人をビックリさせるプランを何かやりりたいなと思ってます。

(行川和彦)